記憶に新しい2014年の豪雪、そして今年2018年の豪雪のように、雪の多い地域でなくても積雪が起こることがあります。
その際、雪に対する対策や経験のない首都圏は大きな被害に見舞われてしまっています。雪の多い地域の方から「東京は雪に弱い」と思われてしまうのは、雪に対する知識や対策を考えていないことが考えられます。
そこで今回は、住宅の積雪対策に焦点を当てて対策方法を紹介していきます!
もくじ
積雪による屋根への被害
雪の多い日は屋根に雪が積もりますよね。多少の積雪の場合は被害は少ないですが、豪雪時は屋根への積雪が様々な被害を低き起こす可能性があります。
まずは、屋根に雪が積もることによって考えられる被害についてみていきましょう。
屋根の崩落
積雪がもたらす被害のまず一つ目として、屋根の崩落が考えられます。
崩落の原因は、雪の重みに屋根が耐えられなくなってしまうことにあります。皆さん、雪だるまを作ったときに、大きな雪玉に結構な重みを感じたことはありませんか?雪は集まるとかなり重いのです。
↑の画像のように多くの雪が積もっている屋根には、かなりの負担がかかっているのです。負担が屋根の耐久力を超えてしまったとき、屋根が崩落し甚大な被害を引き起こしてしまうのです。
雪国として知られる新潟県の屋根に積もる雪の重さは、平均で300kg/m3だそうです。20坪の家の屋根に、軽自動車が13台乗っかっている重さに相当します。
2014年首都圏豪雪で屋根崩落が相次いだ
屋根の崩落を引き起こす可能性のある屋根への積雪ですが、2014年の首都圏豪雪時に各地で屋根の崩落が相次ぎました。
しかし、屋根が崩落したのは首都圏の民家などだけで、山梨県では大きな被害がなかったそうです。専門家の話によると「地域ごとの設計設定が明暗を分けた」そうです。要するに、雪に対する対策意識の差が、2014年の豪雪時に露呈してしまったということです。
今年は東京も随分冷え込んでいますし、「また雪かよ勘弁して~!」という声を多く聞きます。雪による被害を最小限にするために、住宅の積雪対策が大切になります。
落雪による2次災害
屋根に雪が積もることによる被害として落雪が挙げられます。落雪とは、文字通り屋根から雪が落ちることですが、固まって重みのある雪が落ちることを想像してください。
細かい雪が落ちることは落雪被害とは言いません。
落雪は、ただ雪が地面に落ちるだけならいいのですが、2次災害として人にぶつかってしまったり、隣家の屋根に落ちてしまったり、車に落ちてへこませてしまったりという被害を引き起こしてしまいます。
先ほど紹介したように、雪はとても重いですので人にぶつかったら大変です。擦り傷では済みません。
以上のように、落雪という点からも雪対策は必要になります。
雨樋などの破損
↑の画像は破損してしまった雨樋です。雪の雨樋に雪が詰まっていますので、雪の重みに耐えられずに破損してしまったと考えられます。
雪対策をしていなかった結果が雨樋の破損につながっています。毎年のように積雪で雨樋を補修するのはお金がもったいないですので、屋根に雪が溜まらないような対策を取りましょう。
雨樋は、雨を1点に集めて地面に落とす役割があります。もし雨樋がなければ家のいたるところから雨水が落ちてきてしまいます。
雪を屋根につきにくくする塗料がある
ここまで、積雪による被害を紹介してきましたが、具体的にどのような対策を講じることで被害を最小限に抑えることができるのでしょうか。
ここからは、塗料による雪対策を紹介していきます。塗料メーカーから雪対策ができる塗料が出ているので特徴や効果を紹介していきます。
ボンフロン ラク雪クリアー:AGCコーテック株式会社
東京千代田区にあるAGCコーテック株式会社が販売している「ボンフロン ラク雪クリアー」という塗料があります。東京は雪が少ないので、東京にある塗料会社の販売する雪対策塗料が発揮する効果には興味がわきますね。
それでは、ボンフロン ラク雪クリアーの効果・特徴を見ていきます。
滑りがいい
ボンフロン ラク雪クリアーは雪を滑らせる性質を持っており、屋根に雪を付きづらくします。屋根に雪を積もらせない効果があるということですね。
着雪を少なくすることで屋根に雪の重みや負担をかけず、落雪の心配も軽減することができます。
高加橋度のフッ素塗料と特殊な撥水添加物の相乗効果によって雪を滑りやすくしてくれます。
ツヤの有無を選択できる
雪に対する効果だけでなく、ツヤのある光沢間の出る仕上げにすることができます。冬はラクに雪対策して、春・夏・秋はきれいな外観を保つことできます。
また、ツヤなしのボンフロン ラク雪クリアーもあるので、好みに合わせて仕上げを決めることができます。
耐候性に優れている
ボンフロン ラク雪クリアーは溶剤系のフッ素塗料ですので、優れた耐候性を持ち合わせています。塗料の持つ効果を長期にわたって維持することができるので、雪の滑雪効果も長く期待できます。
フッ素塗料の耐用年数は15~20年とされています。現在の普及塗料であるシリコン塗料の耐用年数は8~15年ですので、一般的な塗料より長い耐用年数を期待できます。
ラク雪塗料:株式会社カンペハピオ
株式会社カンペパピオは、関西ペイントグループの会社です。日本3大塗料メーカーのグループ会社ということで、塗料の効果を大いに期待できますね。
この塗料は2015年の9月から販売が開始された、トタン屋根用の塗料となります。
値段は7Lで18,500円、14Lで35,000円となっています。
それではラク雪塗料の特徴・効果を見ていきましょう。
超親水性効果で雪が滑り落ちる
超親水性効果によって、トタン屋根に塗装するだけで自然に雪が滑り落ちるようになります。
滑雪機能を持った超親水効果は現在特許出願中ということで、効果に相当な期待を持っていることが感じられます。
雪が滑りやすいということで、積雪時の雪下ろし作業の負担が軽減されます。雪下ろし作業は危険とも隣り合わせですので安全を確保できるという点においてもメリットを生んでいます。
やっぱり大手メーカーが安心
上で2つの雪対策塗料を紹介しましたがいかがでしたか。ラク雪塗料は関西ペイントグループの会社から出ているということで信頼することができます。
塗料は家を守るうえで十条な働きを担いますので、効果を信頼できるものでないと使用したくないというのが本音ですよね。
ということで、雪対策専用に作られたと塗料ではないものの、3大塗料メーカーが出している積雪対策効果がある塗料を調べてみました。
ファイン4Fセラミック(日本ペイント)
種類 | 耐用年数 | 単価/㎡ | 機能 |
---|---|---|---|
フッ素 | 15~20年 | 3,800~4,300円 |
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摩擦性があるので、屋根に乗った雪が滑りやすくなります。それゆえ、雪下ろしなどの作業がラクになると期待できます。
日本ペイントは日本で一番有名な塗料メーカーです。その中でもファイン4Fセラミックは有名で、フッ素塗料の王道ともいわれています。耐久性に優れているなど、機能が充実しているのも特徴です。
ルーフスターシリーズ(エスケー化研)
種類 | 耐用年数 | 単価/㎡ | 機能 |
---|---|---|---|
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6~8年(ルーフスターSi) | 2,800円 |
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エスケー化研から出ているルーフスターシリーズは、雪が滑り落ちることに対して高耐久性を発揮するので、安心して雪下ろし作業をすることができます。
寒暖の差によるひび割れも起こりにくく、冬が寒い地域におすすめできる塗料となっています。
シリコン塗料で十分?
北海道に住んでいる方が、「大手メーカーのものならシリコン塗料で十分」と言っていました。雪国に住む方の意見ということで信用できそうですね。
実際、先ほど紹介したエスケー化研のルーフスターも寒冷地におすすめの塗料となっているので、シリコン塗料でもきちんとしたメーカーのものを使えば雪対策としては十分なのかもしれません。
雪対策として屋根塗装を考えている方は、一度塗装業者に確認しましょう。シリコン塗料にも種類が多くありますので、雪対策として効果のある塗料を業者に聞いてみることが必要です。
シリコン塗料について詳しくはこちらをご覧ください!
塗装の際は下地処理をしっかりと
雪対策に効果のある塗料を選んだからと言って、ただ塗装すれば効果が見込めるというわけではありません。
屋根塗装では、塗料を塗って行く前に屋根自体のメンテナンスをしなければなりません。具体的にいえば、屋根のサビ取りや旧塗膜の除去といった事です。これらの作業は総称して下地処理と呼ばれ、塗装を完璧なものにするために大切な作業となります。
屋根が傷んでいる部分を補修しないで塗料を塗っても、効果が半減してしまうので注意が必要です。
親水性が高すぎる塗料は落雪を引き起こす?
親水性とは、塗装面に水が広がりやすい性質のことを言います。水が塗膜に広がるので雪の下に水が入りこみ、雪が屋根から落ちるのを手助けします。
雪の滑りを手助けするということでいい機能のように思えますが、親水性が強すぎてもあまりよくないのです。親水性が強いと雪が滑りやすくなり、固まりで地面に落下する危険が考えられるのです。
雪は重いと何度も説明しているように、人や隣家、車などにあたると大きな被害を生んでしまうので注意が必要です。
親水性悪影響を及ぼした事例
都内に住むAさんは、塗装工事で遮熱塗料を塗装しました。
塗装以前は落雪がなかったそうですが、塗装後計3回の雪で大きな音を伴う落雪が起きてしまったようです。
Aさんが使用した塗料は、機能として超親水が特徴のものでした。
超親水機能は、競泳用の水着にも使用されるような、表面を氷がすごい速さで滑っていくものです。それゆえ、屋根の上のほうに積もった雪はある程度の重さまで溜まると、勢いよく滑り落ちてしまのです。
雪どめの付いている屋根の下半分は、雪が溜まったままということなので、超親水性がある塗料を塗って後悔しているそうです。
都内では遮熱塗料が推奨されていることも原因
遮熱塗料は、夏の暑い日でも室内は涼しく保てるゆえ、エアコンなど電化製品の使用量が減ることが考えられます。結果としてヒートアイランド現象の緩和につながるとして遮熱塗料は推奨されているのです。
しかし、遮熱効果を生み出すのにも必要な超親水機能が引き起こす落雪に関しては、まったく認識されていないのです。それゆえ、塗料メーカーや都は超親水が起こす副作用を考えていない可能性があります。
東京は雪が少ないので仕方のないことかもしれませんが、いい機能のいい部分だけに焦点を当ててしまうとデメリットについては盲目になってしまいがちなので注意しましょう。
塗装以外の積雪対策
塗装による積雪対策を紹介してきましたが、それ以外にも積雪による被害対策ができます。
屋根の工事をすることで、対策ができるので知っておきましょう。
雪止めの設置
雪止めは、屋根に積もった雪が滑り落ちないようにするために雪をひっかけてせき止めるためのものです。
雪が固まりになって地面に落ちると危険なので、それを防ぐという意味で重要な役割を果たしているといえます。
豪雪地域では、雪下ろしの邪魔になるということで設置されていません。また、雪の重みで金具が曲がってしまうことも設置されない理由です。
後付けが可能で、値段もそんなに高いものではないので気軽に雪対策ができます。
対策方法 | 費用 | 特徴 |
---|---|---|
雪止め | 10万円程 | 多くの地域で設置されている。豪雪地帯では効果がないので設置されない。 |
無落雪屋根への葺き替え
無落雪屋根とは、屋根が平になっており、屋根の周りに囲いがついています。積もった雪は太陽光によって溶かされ、中央に設置してあるダクトを通り外に排出されます。
囲いの内側は中央に向かってV字になっているので溶けた雪がダクトに集まるようになっています。
無落雪屋根は雪下ろしの必要がなく、落雪の心配がないので事故を未然に防ぐことができます。また、一般的な山なりになっている屋根のように庇(ひさし)がないので氷柱もできません。
ただ雪が屋根に積もり続けることになるので、重さに耐えることができる耐久性が建物に備わっている必要があります。
対策方法 | 費用 | 特徴 |
---|---|---|
無落雪屋根 | 数百万円程 | 落雪の心配がなく安心。建物の耐久性が必要。 |
融雪システムの導入
灯油、ガス、電気などのエネルギーの力を借りて雪を溶かすシステムのことです。屋根全体に電気ヒーターを設置し、屋根を人工的に温めて雪を解かす方法となります。
ただ、溶けた雪が再び凍って氷柱になってしまう可能性もあるので注意が必要です。さらに、電気代がかかってしまうことも忘れないようにしましょう。システムの設置費用だけというわけにはいかないのが、融雪システムです。
雪を人工的に溶かすことができるので、合理的で理想的なシステムにであるといえます。
対策方法 | 費用 | 特徴 |
---|---|---|
融雪システム | 65~320万円 | 屋根全体にヒーターを設置する。 |
落雪システムの設置
屋根の棟にヒーターを取り付け、ヒーターの熱で雪を分裂させ、意図的に雪を下に落としていく方法です。小さな落雪を繰り返すことで、大きな落雪が引き起こす被害を防ぐことができます。また屋根の崩落を防ぐこともできます。
雪下ろしの必要もないので、安全に雪をなくすことができます。ただこちらの融雪方法も電気代がかかります。
対策方法 | 費用 | 特徴 |
---|---|---|
落雪システム | 200万円程 | 大きな落雪を防ぐことができる。 |
雪・雨天時は塗装工事ができない!
屋根塗装に限らず外壁塗装も同じですが、雪や雨などの悪天候時には工事を続けることができません。
理由は雪や雨は塗料の乾燥の妨げとなってしまうからです。塗料はきちんと乾燥させないと持っている効果を最大限に発揮することができません。効果の発揮を期待できないほか、建物に悪影響の場合があるので注意しましょう。
塗装工事は短期間で終わらせたいと思ってしまいがちなのですが、きちんと工程を守り天候にも気を付けなければなりません。
雪の季節が来る前に積雪対策をしよう
説明したように、雪や雨の中で工事を進めることができません。雪対策として屋根塗装を考えている方は春~秋の間に工事を終わらせましょう。
冬がきてあわてて工事しようとしても間に合わないかもしれません。
塗装工事に最適な時期は春か秋となっています。また、気温は5℃以上・湿度85%未満が塗装可能な環境となっています。雨天が多く湿度の高い夏は塗装に向かない季節といえます。
地域に限らず雪対策を!
2014年、2018年と東京でも混乱が起きるような大雪被害がありました。石川県では35年ぶりの大雪を観測しています。こうしてみると、いつどこで雪による被害を受けることになるかわかりませんので、早めに雪対策をしましょう!
雪を甘く見ていると甚大な被害に見舞われかねないので、自身の身を守るためにも屋根への塗装や融雪システムの導入を考えてみてくださいね。