今回は、長い耐用年数が魅力の無機塗料について紹介していきます。
無機塗料の特徴をメリット・デメリットに触れて紹介していきますので参考にしてください!
もくじ
無機塗料とは
無機塗料は、塗料の原料に無機物を配合している塗料のことです。無機物とは石やレンガ、ガラスなどの有機物を含まない物質のことで、紫外線によって劣化することがないので、無機物事態は半永久的に耐久していきます。
しかし、無機物100%の塗料はまだ存在していないので、半永久的に使用できる塗料として無機塗料は開発されていません。無機物100%の塗料では、固すぎて塗料として使用することができないのです。
それゆえ無機物の耐久性を活かして、合成樹脂などの有機物を含ませることによって、塗料として使用できるようになっているのが無機塗料です。塗料が劣化する原因となる有機物が混ざっていることによって、半永久的な耐久性はありませんが、それでもフッ素塗料を超える耐用年数を実現できると期待されています。
無機塗料と有機塗料の違い
一般的な塗料となっている、アクリル・ウレタン・シリコン・フッ素などは、有機物である合成樹脂を含んでいる塗料なので有機塗料と呼ばれます。
反対に無機塗料は、合成樹脂を含まない塗料と言えば簡単な区別がつくのですがそうではありません。先に記したように、無機塗料にも合成樹脂が含まれています。実際には、合成樹脂に無機物を含んでいる塗料です。鉱物だけでは外壁に付着させることができませんよね。それゆえ有機塗料に無機物を配合したものを無機塗料と呼びます。
少し混乱してしまうかもしれませんが、無機塗料と有機塗料の違いは、合成樹脂に無機物が含まれているかどうかということになります。無機塗料・有機塗料の両方に有機物は含まれています。
無機塗料のメリット
それでは無機塗料のメリットを紹介していきます。
無機塗料のメリットは、
- 耐候性が高い
- 防汚性が高い
- 不燃性に優れている
- 変色しにくい
- カビ・コケが発生しにくい
- メンテナンスに手間がかからない
以上のことが挙げられます。ここからはこれらのメリットについて詳しく紹介していきます。
耐候性が高い
耐候性が高いというのは、外塀塗装業界では耐用年数が長い、長持ちするといった意味で使用されます。要するに、多孔性の高い塗料はより長く外壁を保護することができます。無機塗料はシリコン・フッ素塗料よりも耐候性が高いので、とても長い時間光沢を保ち外壁の保護をしてくれます。
耐候性は実験で証明されている
このことは日本ペイントの実験で証明されていて、過酷な条件下で塗膜に負荷をかけても無機塗料は70%以上の光沢を維持できることが証明されています。ちなみに耐候性の高いフッ素塗料でも過酷な条件下では20%未満の光沢保持率になってしまいます。
この実験は耐候年数を、実際に塗料を外壁に塗装して証明しているものではないですが日本ペイントが実験しているということで、無機塗料が高い耐候性をもっているということを証明するには十分と言えます。フッ素塗料よりも長い耐用年数を期待できるので、建物の保護を長い時間おこないたい方にとって最適な塗料なのではないでしょうか。
フッ素塗料について詳しくはこちらをご覧ください!
防汚性が高い
無機塗料が形成する塗膜には汚れが付きにくくなっています。
まず親水性という水に馴染む性質があるため、汚れが付着したとしても雨などが降った際に汚れと外壁の間に水が入り込んで汚れを流すことができるのです。光触媒塗料にも同様の性質がありますが、無機塗料は親水性のある材料を混ぜているので親水機能を発揮することができます。
無機物そのものに親水機能があると勘違いのないようにしましょう。
また無機塗料で形成された塗膜には静電気が発生しにくくなっています。外壁に汚れが付着してしまう原因として、静電気が空気中のちりやゴミを引き寄せてしまっていることがあります。ゴミが付いた外壁は水分を含みがちになってしまうので、コケやカビの発生を引き起こしてしまうことがあるのですが、無機物が配合されている無機塗料には静電気が発生しづらいのでこのようなリスクも少なくなっています。
不燃性に富んでいる
無機物とは一般的に鉱物などのことをいい、それを含んでいる無機塗料は有機塗料よりも燃えづらい性質を持っています。石などは燃えませんよね。この燃えにくさを不燃性といいます。
ただ無機塗料は、有機塗料に無機物を配合しているという格好なので、全く燃えることがないということではないので注意しましょう。
変色しにくい
無機物の効果によって塗膜の劣化がしにくく、変色しにくい塗膜を作ることができます。塗装したての色合いを長い間保つことができるので、数年経っても見た目がきれいな外壁とすることができます。
外壁は変色すると一気に古臭さを出してしまうので、外観のきれいさに気を使う方や美観にこだわる方は無機塗料の使用に向いているかもしれません。
カビ・コケが発生しにくい
カビ・コケの発生原因となる有機物の含有量が、有機塗料に比べて少ないのでそれらが発生しにくいというメリットがあります。
コケやカビは単純に外壁の美観を損なうだけでなく、外壁にダメージを与えてしまうことがあります。コケの根から発生する「根酸」という酸化物質により、外壁や屋根を酸化させサビさせてしまうことがあるのです。
結果として耐用年数を縮めることに繋がりますので、無機塗料はそれを回避できるというメリットを生んでいるのです。
メンテナンスに手間がかからない
無機塗料は20年以上の耐用年数を持っているといわれているので、1度塗装をすればメンテナンスに気を使わなくて済みます。耐用年数が長く、外壁の素材や建物に悪影響を与えずに済むので、建物の寿命を長くすることもできるのです。
以上のように、無機塗料には多くのメリットがあり、塗料として魅力的な性能が多く詰まっている塗料と言うことができます。寿命の長い塗装をしたいという方にとって、検討に入れても良い塗料となっています。
無機塗料のデメリット
メリットの多い無機塗料ですが、残念ながらデメリットもいくつか存在しています。塗料にはメリットとデメリットの両方がありますので、どちらについても理解を深めたうえで塗装に使用する塗料を決定しましょう。
メリットのみで塗料を選んでは、結果的に塗装工事の失敗も考えられますのでデメリットについてもしっかり理解していきましょう。
- 費用が高い
- ひび割れしやすい
- 職人の技術・質が仕上がりに関わる
- つや消しができない
ここではこれらのデメリットについて詳しく解説していきます。
費用が高い
塗料に配合されている無機物は安いものではないので、一般的な有機塗料(アクリル・ウレタン・シリコン・フッ素など)に比べると価格が高くなっています。
有機塗料の中でも高級な塗料であるフッ素塗料よりも高くなります。また、現在の普及数が少ないので価格を下げることができないという影響もあります。無機塗料が普及してき場合は現在よりも価格を下げることができるかもしれませんね。
フッ素塗料の単価が3800~4800円/㎡なのに対し、無機塗料は4500~5500円/㎡となっています。
ひび割れしやすい
無機塗料は塗膜が固いので、他の塗料に比べると塗膜にひびが入りやすくなってします。それゆえ建物の動きが激しい場合は、塗膜にひびが入ってしまうことが考えられますので、地震の多い地域など、建物に動きが多い場合にはおすすめできない塗料です。
職人の技術・質が求められる
これは無機塗料に限らず高額な塗料に当てはまることなのですが、塗装する職人の技術が低いと、どんなに良い塗料でもすぐに剥がれたり劣化してしまいます。無機塗料も例外でなく、下地処理や高圧洗浄といった基本作業を怠ったり、塗装技術が低い場合は塗膜が早く劣化してしまいます。
このように、塗料の耐用年数は塗装職人の手にかかっていますので、技術力のある信頼できる業者に工事を依頼しましょう。業者選びは外壁塗装工事で最も大切といっても過言ではないほど重要です。
つや消しができない
塗料の多くはツヤありかツヤなしを選択できますが、無機塗料はツヤありのみの塗装になります。ただツヤの程度の指定はでき、5分ツヤ・3分ツヤと調整は可能となっています。ツヤ独特のまぶしい感じが苦手な方にとって、無機塗料の使用は向いていないかもしれません。
無機塗料の単価は4500~5500円/㎡
無機塗料の平米単価は、4500~5500円/㎡となっています。ほかの塗料と費用と耐用年数の比較をするために表にまとめていきます。
塗料の種類 | 耐用年数 | 単価/㎡ |
---|---|---|
アクリル塗料 | 4~7年 | 1000~1200円 |
ウレタン塗料 | 6~10年 | 1800~2000円 |
シリコン塗料 | 10~15年 | 2500~3500円 |
フッ素塗料 | 15~20年 | 3500~4500円 |
無機塗料 | 20~25年 | 4500~5500円 |
光触媒塗料 | 10~15年 | 5000~5500円 |
他の塗料と比べてわかるように、費用はとても高くなっているのですが、その分耐用年数が他塗料と比べて長くなっています。
こうしてみるとコストパフォーマンスの高い塗料と考えることができます。
無機塗料は3大メーカーを使用しよう
無機塗料を使用する際は、品質・信頼のある塗料3大メーカーのものを使用しましょう!
日本ペイント・関西ペイント・エスケー化研は日本で3大塗料メーカーと言われており、このメーカーの塗料なら使用が安心です。それでは各塗料メーカーのおすすめ無機塗料を紹介していきます。
塗料メーカー | 無機塗料の名称 | 塗料タイプ |
---|---|---|
日本ペイント | アプラウドシェラスターNEO | 水性2液型 |
ハナコレクション500コート | 水性1液型 | |
関西ペイント | ムキフッソ | 弱溶剤2液型 |
アレスシルクウォール | 水性1液型 | |
エスケー化研 | スーパーセラタイトF | 水性1液型 |
塗装経験のある業者に工事の依頼をしよう
3大塗料メーカーの無機塗料での塗装を決めたら、信頼できる塗装業者に塗装の依頼をしましょう。
せっかく良い塗料を使用するのであれば、信頼できる業者に塗装してもらい、耐用年数がしっかり守られるように塗装してもらいましょう。技術のない業者による塗装は耐用年数を縮めてしまう恐れがあります。
無機塗料はこんな方におすすめ!
無機塗料の使用は、
- メンテナンスに手間をかけたくない方
- 費用が高くても、綺麗な外観を長く保ちたい方
- 塗装工事を何回もしたくない方
- 外壁を高い効果で保護したい方
以上のような方におすすめです。無機塗料の効果や性能が魅力に感じるようなら、塗装工事で使用する塗料の候補に入れてみてください!